老若男女を問わず、独居が増えているという社会。その背景を調べてみました。

半世紀前、団塊の世代が20代の頃、男性は社会に出て働くと女性よりも高い給与を得ることができるという常識がありました。そして、結婚し、家族を持つことにより「扶養家族手当」などの諸手当が支給され、同時に所得税などの減税も受けられました。極端なことをいえば、同一労働であっても家族を養う給与が保証されていました。そういう社会でした。%e4%b8%80%e7%94%9f

そのころ、ウーマン・リブという言葉もありました。女性解放という意味です。女性は男性に対して従属的な生き方を強いられてきた。たとえば、「結婚により仕事を辞め、家庭に入る」ことを「寿退社」などという風潮から解放されたいという言葉です。自分は実際の社会生活において男女の役割分担が必要不可欠と考えていたので戸惑いを感じていました。

社会に変化を与えた法律が、1985年に制定された「男女雇用機会均等法」です。この頃、私はちょうど30歳でした。前職において住宅営業職は男性ということでした。女性は夜、仕事から帰って食事が終わった後、ご主人と奥様との打ち合わせをするので当然、夜遅くなる。今でいうブラックな環境に向かないのでそれが求められる環境では仕事にならない状況でした。

それから、30余年、男女雇用機会の均等は社会において常識になっていることは誰もが知ることです。現在、「同一労働、同一賃金」がいろいろな法改正に向けて動いています。いずれ、それが常識になっていくと思います。

現実にここ、30余年間において男女間においての給与格差はほとんど無くなりました。私は女性の社会進出により男性の給与は相対的に低下、女性の給与は相対的に上昇してきたように感じているのは自分だけではないと思います。

その結果、それまである年齢(結婚適齢期?)までに結婚しないと仕事がなく生活できないという状況から結婚すると仕事ができなくなって、場合によっては男性だけの給与では生活が厳しくなるという現実も増えてきました。

こうした状況から晩婚化、未婚化という社会変化が起きたと思います。住宅の営業をするなか、実際に多くのご夫婦と間取りなどを打ち合わせいたしました。たとえば、キッチンについては奥様を中心にご主人の意見を確認しながらといった具合でした。この時のご夫婦の対応は大きく分けて3種類ありました。%e3%82%ad%e3%83%83%e3%83%81%e3%83%b3

❶キッチンは「主婦だけが使うもの」と考え、無関心のご主人を無視いて打ち合わせする奥様

❷キッチンは「主婦だけが使うもの」と考えながらも奥様のご意見を聞き、ご自分の意見をいうご主人

❸キッチンは「家族で使うもの」とご夫婦で考え、キッチンでの役割分担まで打ち合わせするご夫婦

キッチンの打ち合わせだけでも、家庭における夫婦のあり方について考えさせられることがありました。そうした経験から、生活面では女性は家事、育児という母性が求められ、家族を育むということが大切なことなんだなと思いました。雇用における給与体系が大きく変わるなか、それを理解できない。父性がないと結果的に男性が女性と家族を養うことが難しく、婚姻関係か継続できないという現実です。

%e4%b8%80%e4%ba%ba%e6%9a%ae%e3%82%89%e3%81%97こうした社会変化により、独居は人生における「ひとつの選択肢」になりました。男性は30歳を超えたら「結婚して家族を持って一人前」という時代ではなくなってきていると思います。

男性には父性、女性には母性があります。結婚において、それを意識、実現できないのならば、結婚は負担になりかねません。そうしたことを人生において回避することが社会的に受け入れられた結果が独居の増加です。

合わせて「人生100年時代」における高齢者の増加が独居を増加に直結しています。結婚して人生を男性女性が一緒に人生を歩んできてもどちらかが先に亡くなります。その結果、独居になります。今後10年で急速に増えていきます。

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