独立して来年(2017年)おかげさまで15周年を迎えます。準備もなく、毎日が試行錯誤でのスタートでした。時代の変化が幸いして、自分たちのビジネススタイルになりました。名刺代わりに新たにお会いする方々にお渡しできればと考えています。

 

~はじめに~

いよいよ、100年以上続いた急激な人口増加、そうした背景における常識が大転機を迎えます。2007年から日本の人口増加は頭打ちになり、総人口は減少に転じました。

しかし、人口は減っても、高齢化や晩婚化、さらに離婚率の上昇によって、まだまだ世帯数が増えています。しかし、2017年頃で頭打ちになります。その後は、世帯数も総人口と同じように減少に転じることになります。

総人口が増加してきた時代と総人口が減少していく時代はまさに180度の転換期です。当然のことですが多くの経済活動が大きく変わってまいります。この結果、既存の賃貸住宅の経営も大きく変わります。

このような状況は今までに誰一人として遭遇していません。しかし、一気に人口が減っていくということではありません。少し少しの変化を今までとは違う視点で捉え、対応することが大切なことなのです。

 

空室の増加を尻目にオーナー様に一括借上げシステムを提唱、大手の建築会社を中心に新築賃貸住宅の供給が続いています。ここでの新しい流れに注視しなければなりません。

新しい流れの第一点は以前に比べて比較的安い賃料設定がなされているということです。新築でありながら、建築後10年くらいの既存賃貸物件より家賃が安いという現象も散見されます。一括借上げの収入の多くは家賃収入です。何としても確保しなければならないという背景があります。大手も入居者確保に苦戦しているということです。ここで留意しなければならない点があります。保証家賃の減額です。すでに減額された方もいらっしゃいますが家賃保証会社は実際の募集家賃の実績をもとに保証家賃の減額をオーナー様に申し入れてきます。

 

第二点は間取り、設備、外観の充実です。以前は家賃を保証するのだからといわんばかりに建築費に見合わないお粗末な状況ともいえるものでした。昨今では入居者確保の為に急速に改善されてきてます。

こうした動きは賃貸市場の変化として、より新しい、いい間取り、いい設備、いい立地の物件に入居者が流れる傾向が急速に高まります。こうした動きによって、同一築年数の賃貸住宅においては間取り、設備、立地条件のいずれかが劣る賃貸住宅の空室は増えることになります。

 

前述の状況下、大家さんにとって、空室が増えるということは、家賃収入が減ることを意味します。家賃収入が減れば、賃貸住宅を修繕する資金さえもなくなります。そうした賃貸住宅をそのまま放置しておくと、ますます、借りる人はいなくなり、空室はさらに増えていくということになります。

立地はいいのに、顕在化してきた〝長期にわたる空室〟という問題はそうしたことが主な原因です。〝長期にわたる空室〟というシグナルは賃貸住宅経営において、解決しなければならない緊急重要課題です。

〝長期にわたる空室〟を解決する特効薬もいくつかありますが、その多くは大家さんにとって多大な出費を伴うものであり、できればしたくないということが本音であると思います。しかし、〝長期にわたる空室〟になってしまったら、一刻でも早く、実行しなければなりません。

 

なぜならば、家賃は入居者の方に1ヶ月間貸すことによって生まれるもの、売買とは異なり時間が売り物なのです。

具体的には1ヶ月間売買は決済が遅れても、得る代金はかわりませんが家賃は空室ならば1か月分確実に失うものです。よって満室であっても空室における対応は常に準備しておくことが何よりも大切なことなのです。

 

一方、賃貸住宅の経営をやめるという選択肢もあります。この場合、ローンの借入残高と売却価格がキーポイントになることは明白な事実です。ローンの借入残高が売却価格を上回った場合、所有権移転のため、抵当権を抹消しなければなりません。現金を売るために別途、用意しなければなりません。用意できなければ、売るに売れないということになります。

現在の市場価値を意識して、賃貸住宅経営をしなければならないことが重要な意思決定要素になります。対策を後送りにすることは事態を悪化することになります。健全経営ができている状況においての対策を提示させていただくことはそうしたことです。

また、〝長期にわたる空室〟の定番ともいえる築15年を超えた賃貸住宅の大家さんの税金の負担は急速に増大しています。借入れにより賃貸住宅経営を始めた当初15年ぐらいは税法上の申告所得よりも手元に残る現金所得が多いという状況であり、節税効果もありましたが逆転して重税効果になっているということです。

たとえば、当初、実際の所得は300万円でも、課税所得は150万円といった状況でした。それが賃貸住宅経営から生ずる実際の所得は150万円しかないのに税金は300万円あったとして課税されるということです。

したがって、空室対策のためにリフォームをしたくても、その資金がない。家賃相場は下がり、空室も増える。リフォームをしたいが資金がない。こうした大家さんが多くなってきているという現実から、〝長期にわたる空室〟を解決する手段として土地値以下で売却される賃貸住宅も今後は増えていくことが予想されます。この場合、リフォーム資金も勘案した不動産投資額が売却価格になることは明確です。

不動産投資により誕生する大家さんの出現ともいえます。新しく誕生した大家さんは資産運用を目的とする投資家ともいえます。したがって、不動産管理業者に要求する業務内容も大きく変わります。不動産取引業者の延長であったともいえる不動産管理業者に不動産投資顧問業者としての能力を要求されるということであります。

現実には不動産取引業者と独立した環境により中立性を保持する不動産投資顧問業者が信頼のおける不動産管理業者と連携して資産運用を目的とした投資家の要請に応えるという賃貸住宅経営手法、いわば、不動産投資顧問業者、不動産管理業者による賃貸住宅経営代行業が従来の大家さんによる賃貸住宅経営に変わっていきます。

賃貸住宅経営代行業は投資家に対して正確な情報、たとえば、近隣の賃貸物件との比較を入居希望者目線で客観的に伝えることが重要なポイントになります。さらにそれに対する対策の提案及び実行支援であります。

不謹慎ですが飲酒した際に車を運転してもらう【運転代行】をイメージするとわかりやすいと思います。飲酒運転は大変危険です。加害者になった場合、保険も免責事由になりかねません。

経済的に自己負担しなければならないことが多くなるということです。長期にわたる空室は飲酒のようなもの、所有する車を目的地に移動するのには運転代行利用しかないのです。自分では運転しない、代わりの人に運転してもらわなければならないのです。