~今から20年前~  戦後、一貫して上昇してきた土地に対する異常ともいえる投資、そして過剰なまでの融資によってバブル経済が起きました。本来の価値以上に土地に融資がされたのです。当然の結果としてバブル経済は崩壊し、金融機関は自らの過剰な融資を原因とする巨額の不良債権、地価の下落が追いうちになって、不良債権処理が進まず、20年以上も停滞しました。そうしたなか、世界中で初めてのデフレが吹き荒れ始めました。バブル崩壊による経済の低迷により企業はリストラを断行、数多くのサラリーマンがリストラされました。

同時期、賃貸市場は【貸し手市場】から【借り手市場】になりました。戦後50年以上も続いてきた【貸し手市場】も崩壊したのです。大家さんと入居者さんの立場が逆転しました。経済活動上、当然のことではありますがこの変化に【マイナスのイメージを感じる大家さん】と【プラスのイメージを感じる大家さん】という2極化が始まりました。幸いに当社と一緒に賃貸経営をされている方々の多くはプラスのイメージを感じる大家さんでした。

【プラスのイメージを感じる大家さん】は時の経過による入居者ニーズの変化が必ず発生することを当然のことと理解されています。わかりやすい事例として、日本が世界に誇る【自動車産業】の対応力があります。

ドライバーの意見をもとに創意工夫された新しい自動車が開発されます。そして、今までにない価値がドライバーに受け入れられるとドライバーの購入意欲が高まり、乗り換えされます。売れるということです。今までにない価値がドライバーに受け入れられなければ、購入意欲が生まれず、乗り換えされません。売れないということです。

新しい自動車が売れれば、メーカーは利益を得ることができますが売れなければ、多大な開発費用すら回収できない、赤字になります。

 

賃貸住宅においても【自動車産業】と同様なことがいえます。

入居者ニーズをもとに創意工夫された新しい賃貸住宅が建てられます。そして、今までにない価値が入居者に受け入れられると入居者の引越し意欲が高まり、住み替えられます。入居が決まるということです。今までにない価値が入居者に受け入れられなければ、入居者の引越し意欲が高まらなく、住み替えられません。入居が決まらないということです。

 

新しい賃貸住宅に入居が決まれば、オーナー様は利益を得ることができますが入居が決まらなければ、多大な投資費用すら回収できない、赤字になります。

 

もう一度、話を【自動車産業】に戻してみます。さらに大切なことがわかります。

メーカーの開発した新車も時の経過とともに売れ行きが落ちてきます。販売価格を下げたりしますが一時しのぎにしかならず、利益も下がります。販売台数減×利益減によって、【マイナーチェンジ】がされます。当然ではありますがドライバーのニーズに応えるために創意工夫と投資が必要です。【マイナーチェンジ】も新車開発と同様に時の経過とともに販売台数減×利益減になります。そして【フルモデルチェンジ】がされます。

賃貸住宅に話をおきかえると

【マイナーチェンジ】=【リニューアル・リノベーション】立地条件がよいのにもかかわらず、新しく建てられた賃貸住宅に対して陳腐化、経年変化のよる設備劣化に対して家賃を下げるよりか良いと判断され実施する。

【フルモデルチェンジ】=【建て替え】

 

私どもは新しい付加価値を一緒に考えていただける大家さんと時代が求める賃貸住宅のあり方を実践しています。その結果が平均入居率70パーセントといわれている業界において驚異的な平均入居率95パーセント以上を実現しています。最近の【一括借上げ家賃保証システム】(募集家賃の90パーセント保証)に比べてはるかに利回りが高いといえます。

※2016年9月より【一括借上げ家賃保証システム】の保証家賃減額によるリスク説明義務がスタートする予定です。

今から15年ほど前に最高裁判所が家賃保証会社の家賃減額請求を認めたことにより、保証家賃の減額が現実に数多く実施されたことをうけて、新規に家賃保証会社を利用する方に周知しなければならない状況になったからです。現に20年前の保証家賃が55,000円、今の保証家賃は35,000円という現実が多くあります。20年前の金利は7パーセント前後、今の金利は1パーセント前後だから、これだけ保証家賃が引き下げられても家計に対して【持ち出しになっていない、あるいは持ち出しは少ない】からです。金利が上がれば、家計すら破たんに追い込むということすら、ありえます。その【リスク説明】を家賃保証会社に義務付けました。

この15年間、保証家賃の下落によるトラブルが多くあったということが法律改正の背景であることは容易に推測できます。今まで動かななったのは、平成13年施行の消費者契約法の対象に賃貸住宅のオーナー様が事業者ということでなってなかったことよるものです。

一般に賃貸住宅のオーナー様は本業とはいいにくい状況です。主に会社員として給与を得ています。いわば、消費者のような立場にもかかわらず、事業者としてみられて消費者契約法の対象にならない。消費者ではないのだからという理由で保護されませんでした。

 

 

~20年ほど前に賃貸住宅市場の変化がありました~

【貸し手市場】から【借り手市場】という言葉がマスメディアに多く使われました。自分もそのころはその言葉をうのみにしていました。

長期にわたる空室➊で述べましたように空室になれば、窓ガラスに「空室」の貼紙程度で新しい入居者が現れるということがなくなり、何もしなければ、空室が長く続くという変化、入居者募集が必要な時代になりました。そうした時代の到来に呼応するかのように【賃貸住宅情報誌】が発刊され始めました。

その結果、入居希望者は情報誌を見て、比べて、第一次的な判断ができるようになりました。同じ「2LDK」でも間取りによって暮らし方、快適さが大きく違ってくるということも入居希望者の方で理解されるようにもなりました。【賃貸住宅情報誌】の特集記事「同じ2LDKでも、こんなに暮らしが違ってくる」「キッチンのチェックポイント」などが入居希望者の方の間で話題になっていました。

具体的には、不動産業者が【賃貸住宅情報誌】に広告費を支払い「間取り」「家賃」「所在」「外観写真」などを掲載、入居者募集を行いました。入居希望者はそれにより、いくつかの不動産業者に実物を案内してもらい、比較検討し、最終的に入居する物件を選んでいました。しかし、まだ、室内の様子、近隣環境などは実際に行ってみないとわからない状況でした。

後記

20年程前に比べて、来店が少なくなってきている。電話も同様だという不動産業者に会う機会がありました。60代の方で40代の頃と比較してそのようなことをいっていました。私はその方に「グーグルマップ」を知ってますか?と聞いてみました。どういう地図なんだい、聞いたこともない。ゼンリンマップならいつも使っている。不動産業者の常識だといわれました。コントになってしまうのでそれ以上の話はしませんでした。

次回は15年前までをお伝えします。